緒言:近年、前頭洞病変に対して拡大前頭洞手術が広く行われる中、排泄路の術後狭窄が問題視されている。今回、当科において Harveyらが行う遊離下鼻甲介粘膜弁による排泄路の狭窄化予防を行い、良好な成績を修めることができたので報告する。方法:2015年10月から2018年6月までに拡大前頭洞手術を施行した19例を対象とし、遊離粘膜弁使用の有無、排泄路の温存率、遊離粘膜弁の生着率について検討を行った。結果:年齢は平均56.9歳、観察期間は平均19.6カ月であった。疾患の内訳は化膿性前頭洞炎が10例、好酸球性副鼻腔炎6例、鼻腔腫瘍1例、嚢胞2例であった。遊離粘膜弁使用なしは9例、使用ありは10例であり、排泄路閉塞はそれぞれ前者に6例、後者には認めなかった。また遊離粘膜弁の生着率は100%であった。結論 :遊離下鼻甲介粘膜による骨削開部位の被覆は術後排泄路閉塞の予防に有用であった。遊離粘膜弁でも骨面への定着は良好であり、創部間の癒着防止や骨増殖の抑制により前頭洞形態が良好に維持されることが想定された。
2019/05/10 11:20〜12:20 第3会場