【目的】近年、根管処置例やインプラント挿入に伴った上顎洞歯科異物の報告が増加している。異物に伴う副鼻腔炎症例に対する治療方針は確立されていない。今回われわれは、当科で鼻内視鏡手術を施行した上顎洞歯科異物症例について検討した。【対象】2014年11月から2018年10月に当科で鼻内視鏡手術を施行した上顎洞歯科異物症例6例。【検討項目】異物の種類、原因、摘出経路、鼻副鼻腔の形態的異常、副鼻腔炎の進展範囲。【結果】上顎洞底インプラント体穿孔が1例、歯科処置材料(充填剤、シリコン印象材)迷入が5例であった。異物迷入症例の摘出経路は、1例が中鼻道より摘出、4例は下鼻道より摘出した。上顎洞炎は4例に認められ、中鼻道自然口ルート(OMC)の閉塞による上顎洞篩骨洞前頭洞炎は2例に認められた。【考察】 OMCの閉塞を伴う場合、異物除去だけでなく、鼻内視鏡手術での形態の改善を行うことが耳鼻咽喉科医の役割と考えられた。
2019/05/10 9:20〜10:20 第3会場