歯性上顎洞炎は、歯性感染が上顎洞に波及して起きる疾患である。治療は、副鼻腔炎の治療とともに原因歯に対する治療が必要であるが、原因歯を抜歯するか否かについては明確な方針が定まっていない状況である。当科では、基本的に、原因歯の保存を目指して内視鏡下鼻内副鼻腔手術を先行して経過をみている。咀嚼機能を担えない残根や著しい動揺を呈する原因歯については抜歯を行うが、多くの症例において原因歯の保存が可能であった。内視鏡下鼻内副鼻腔手術の際は、上顎洞の病的粘膜を除去して洗浄を行い、さらに、洞底部に交通する原因歯根の根尖病巣を掻把する処置を行っている。歯科的に抜歯適応となりやすい歯根嚢胞についても、同様の処置を行い、原因歯の保存が可能であった。この治療方針の下で、当科で加療した歯性上顎洞炎手術症例について、原因となる歯性病変の分類を行い、原因歯の保存率について報告する。
2019/05/10 9:20〜10:20 第3会場