第120回 日本耳鼻咽喉科学会総会・学術講演会

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【緒言】構音を含む日常生活では支障がないが、吹奏楽器の演奏時に、呼気が鼻腔より抜けることで演奏に支障を来し、楽器演奏者にとって重大な問題となることがある。海外では“ Stress Velopharyngeal Insufficiency”として報告が散見されるが、本邦ではまだ報告がない。今回、われわれは吹奏楽器演奏時のみに出現する鼻咽腔閉鎖機能不全の1例を経験したので、報告する。【症例】19歳男性、音楽大学学生。13歳からクラリネット演奏を始め、15歳時に演奏時のみ鼻から空気がもれる症状を自覚。徐々に増悪したため、当科受診。鼻咽腔ファイバーでは、アデノイドの小隆起を認め、頬ふくらまし時にその左側より呼気の漏出を認めた。開鼻声はなく、軟口蓋運動制限や粘膜下口蓋裂等の解剖学的異常は認めなかった。当科受診3カ月後、海外の報告を参考に、全身麻酔下に腹部脂肪を採取し、上咽頭後壁に注入したところ、鼻咽腔からの呼気の漏出と症状は消失した。術後3カ月現在、再発を認めていない。本病態の診断や治療法、その工夫について、文献的考察を加えて報告する。

2019/05/10 10:20〜11:20 第2会場