第120回 日本耳鼻咽喉科学会総会・学術講演会

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2014年から2018年の間にバセドウ病に対し手術を行った16例の手術成績を後方視的に検討した。手術適応は、抗甲状腺薬に対する抵抗性または副作用が6例、眼症合併が1例、腫瘤性病変合併が7例、挙児希望が1例、その他が1例であった。術式の内訳は、亜全摘(ST)7例、全摘(TT)9例であった。 ST群、 TT群間で手術時間、術後合併症(声帯麻痺、術後出血、低 Ca血症)の発生率に有意差を認めなかった。 ST群では2例で再発、4例で甲状腺機能低下、1例で甲状腺ホルモン内服が不要となった。術中出血量は、 ST群は平均 122ml、 TT群は平均 53mlで、 ST群で出血量が多い傾向にあった。さらに出血量に関して、 ST群と TT群をそれぞれ術前超音波検査での甲状腺内血流が豊富か否かで分け、4群で比較したところ、血流が豊富で STを行った群がその他の群と比較して有意に手術中の出血量が多かった。バセドウ病手術の術式として、再発の心配がない TTが妥当であった。術前超音波検査で甲状腺内部血流が豊富な症例に STを行う時は術中出血に注意が必要である。

2019/05/09 17:40〜18:40 第10会場