甲状腺悪性リンパ腫は、甲状腺悪性疾患および悪性リンパ腫のいずれにおいても2%以下とまれであり、時に気道圧排・浸潤による気道閉塞のリスクがある。2006年1月~2018年11月までに関西医科大学附属病院で診断治療を行った13例を対象に後ろ向きに検討した。男性6例、女性7例で、年齢は58歳.83歳(中央値77歳)。組織型はびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫10例、節外性濾胞辺縁帯B細胞リンパ腫( MALTリンパ腫)3例であった。画像検査あるいは触診などで偶発的に発見された3例はいずれも MALTリンパ腫であった。13例いずれも抗サイログロブリン抗体/抗 TPO抗体のいずれかあるいは両方が陽性であった。2例に気管圧排による気道閉塞に対して気管切開を施行し、気管浸潤から気管内出血を来し死亡した1例を経験した。甲状腺悪性リンパ腫は比較的予後良好(5年生存率70%以上)であるため早期診断が望ましい。抗甲状腺抗体陽性例で甲状腺の急速な腫大を示す場合には甲状腺悪性リンパ腫を念頭に置く必要がある。
2019/05/09 11:50〜12:50 第10会場