近年、新規アポトーシス実行分子として、セラミドやスフィンゴ脂質等の脂質メディエーターが注目されている。今までに、われわれもグルコシルセラミドが頭頸部扁平上皮癌細胞株に対して腫瘍増殖抑制効果を示すことを初めて報告し、また、食品(米ぬか)由来で安全性の担保されたセラミド誘導物質の開発を進めてきた。頭頸部癌患者においては、転移再発や重複癌が予後に影響を与えるが、今回、われわれは、米ぬか由来のセラミド誘導物質が腫瘍縮小効果だけでなく、頭頸部の発癌に対する予防効果を示すのか検討した。咽喉頭発がんのためにトランスジェニックマウス化学発がん物質を飲水させ、実験群には、グルコシルセラミドを餌に混ぜて投与した。口腔咽喉頭から食道にかけて展開し組織学的に評価を行った。グルコシルセラミドを投与した群において、口腔咽喉頭から食道にかけて優位に癌および上皮内癌ともに発生が抑制されていた。グルコシルセラミドが発がん予防としての効果を有する物質になることが示唆された。
2019/05/09 17:40〜18:40 第9会場