IgG4関連疾患は血清 IgG4高値と IgG4陽性形質細胞浸潤と線維化を特徴とする、全身諸臓器の腫大や結節性病変を認める疾患である。今回われわれは顎下腺生検の結果 IgG4関連疾患と診断された症例を経験した。症例は71歳男性。左顎下部の腫脹のため受診した。初診時、左顎下腺の腫脹が硬結として触れた。臨床検査所見では IgG 3,268mg/dl、 IgG4 1,350 mg/dlと高値であった。画像検査所見は頸部造影 MRI検査で左顎下部周辺から耳下腺下部にかけて不定形な T1、 T2共に低信号域を認め、両側の眼瞼肥厚や涙腺腫大も認めた。造影体幹 CT検査で縦隔、肺門リンパ節腫脹に加えて、後腹膜の右腎内側、傍大動脈領域に軟部陰影を認めた。左顎下腺摘出を行い、病理組織学的にリンパ濾胞間に形質細胞の浸潤が見られ、 CD138、 IgG、 IgG4陽性細胞が分布しており、 IgG陽性細胞中の IgG4陽性細胞の割合は50%以上であった。以上の結果より IgG4関連疾患による一群の臨床症状と診断し、プレドニゾロン 30mg/日で治療を開始した。投与後速やかに眼瞼腫脹と顎下部腫脹が軽減し現在経過観察中である。
2019/05/09 10:50〜11:50 第8会場