今回われわれは IgG4-RDの特徴である高度線維化のメカニズムについて、顎下腺領域に着目し検討を行った。
IgG4-RD患者の顎下腺組織より分離培養した線維芽細胞について遺伝子の網羅的発現解析を行ったところ、 IL-6、 IL- 18、 TSLP、 MMP1で正常対照群に比して有意に発現の増加が認められた。これらについて免疫組織学的検討を行うと、いずれも IgG4-RD群の線維芽細胞に陽性像が認められた。
ここで IL-6に着目したところ、 IgG4-RDの線維芽細胞の IL-6産生能は対照群より著しく亢進しており、これは IL-1β、 TNFα、 TGF-βの処置により亢進した。さらに、ヒト肺線維芽細胞の増殖において IL-6と共に重要な役割を担う WISP1も IgG4-RDの培養線維芽細胞において発現の増加がみられた。また、培養線維芽細胞を IL-6、 WISP1それぞれで処置し、細胞周期を観察したところ、 IgG4-RD、対照群いずれも G2/ M期の増加が認められた。以上の結果から IgG4-RDにおける高度の線維化は、炎症性サイトカインにより誘導された線維芽細胞産生の IL-6/ WISP1を介した線維芽細胞の増殖によるものと考えられた。
2019/05/09 10:50〜11:50 第8会場