第120回 日本耳鼻咽喉科学会総会・学術講演会

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筋萎縮性側索硬化症(ALS)ではしばしば構音障害を初発もしくは経過中に発症する。構音の異常は構音器官全体の運動性に起因するが、鼻咽腔閉鎖不全は開鼻声と共に全体の明瞭度低下、鼻漏出による音量低下、発声持続時間短縮により、呼吸障害が進行する ALS患者では重大な要因となる。一方、嚥下能は初期には口腔期が主に障害されるが、呼吸障害が進行するまでは比較的の保たれていることが多い。従って、その後呼吸筋障害が進行し、人工呼吸器管理に至る可能性が高いとは言え、少なくとも1年以上の経過を示し、急速進行性でないと見込まれる患者の場合には、鼻咽腔閉鎖機能の改善で QOLを上げることは意義があると考えられる。鼻咽腔閉鎖機能の改善に軟口蓋挙上装置等の報告があるが、 ALSでは感覚機能が保たれているため、実際の装着は困難である。機能改善術は侵襲が少ないと共に効果が確実かつ、即時に得られるものであることが望ましい。このような患者に対して私たちは以前から口蓋咽頭側面縫着術(主に一側)を行ってきた。実際の治療前後の経過につき報告したい。

2019/05/09 11:50〜12:40 第7会場