披裂軟骨内転術は麻痺声帯を生理的な内転位へ移動する非常に強力な手術である。しかし従来の方法では披裂軟骨にアプローチするために、外喉頭筋群や咽頭収縮筋、上喉頭神経外枝および輪状甲状筋を処理する必要があった。外喉頭筋群や咽頭収縮筋は嚥下運動にかかわる重要な筋肉であると共に、反回神経が障害を受けた声帯麻痺の状態においては、声帯の内転運動に関して、補助的で代償的な働きをしている。また咽頭収縮筋の上を走行する、上喉頭神経外枝が支配している輪状甲状筋も同様な働きをすると共に、声の高さの調節に関して重要な働きをしている。
この手術が行われ始めた頃に比べて、画像診断技術はめざましい進歩を遂げている。そこで術前に画像検査を行い、披裂軟骨の位置を正確に把握することにより手術操作を最小限にし、今まで処理しなければいけなかった筋肉を温存する手術を考案した。本術式について報告する。
2019/05/09 10:50〜11:50 第7会場