第120回 日本耳鼻咽喉科学会総会・学術講演会

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タイトル

耳鳴治療の対象は耳鳴が発生している聴覚路と悪化させる苦痛ネットワークで、治療の主力は音響療法と指示的カウンセリングである。当科では指示的カウンセリングとして全例に耳鳴の病態や対処法、治療目標について詳細に説明し、症例により補聴器による音響療法や抗不安薬等を併用している。今回耳鳴診療ガイドラインが発刊されるにあたり、当科の現状を把握する目的で耳鳴症例230例を後ろ向きに検討した。効果判定は初診時と最終受診時の THI( tinnitus handicap inventory)値を比較し、20以上改善か16以下となった症例を改善とした。初診時の説明のみで追加治療や再診を希望しなかった症例は117例で、それ以外の113例を補聴器による音響療法を行った HA群、抗不安薬を併用した AA群、両方行った HA+ AA群、いずれも行わなかったその他群に分けた。全体の改善率は76%で THI値は55から22と有意に改善した。各群の症例数と改善率は HA群35例89%、 AA群34例71%、 HA+ AA群7例86%、その他群40例63%だった。本検討からよりよい耳鳴診療を行うための今後の展開について考察する。

2019/05/09 10:50〜11:50 第6会場