【背景】経口的下咽頭手術の手技をシミュレーションするにあたり、通常、献体されたご遺体は仰臥位でホルムアルデヒド( FA)液に固定されているため、咽頭は内腔が狭く硬化しており内視鏡を用いた観察や操作を行い難い。
【目的】 FA代替液による咽喉食摘標本を用い経口的下咽頭手術をシミュレーションする。
【方法】主成分がNビニルピロドリンのプリザーブ液Ⓡで安置された頭頸部に異常のない74歳女性のご献体である。舌骨上から頸部食道下までの咽喉食摘臓器を用いた。咽頭内腔から頸部食道まで食道入口部を跨ぎバルーンで拡張させ FA液で再固定した。硬性内視鏡と鉗子類を用いて、口側の咽頭内腔からの術野で経口的下咽頭手術をシミュレーションした。【結果】下咽頭腔は喉頭鏡を挿入した拡張した状態を模していた。粘膜の全層剥離、主要な筋・血管・神経の露出など、解剖学的指標を確認しながらの手技が可能であった。【まとめ】本方法により下咽頭手術における inside-out anatomyの理解が深まるものと思われる。
2019/05/09 11:50〜12:50 第3会場