【背景】口蓋扁桃摘出術はさまざまな施設で広く行われている手術の一つである。今回、口蓋扁桃摘出術の術後出血を契機に精査を行い、血液凝固異常症と判明した症例を経験したので報告する。【症例】症例は、19歳、男性。以前より扁桃炎を反復しており、習慣性扁桃炎の診断のもと、手術目的にて近医より紹介された。既往歴や家族歴、また血液検査における異常はなかったため、両側口蓋扁桃摘出術を施行した。術中の出血は少量であったが、手術翌日に扁桃窩の血腫や軟口蓋の粘膜下出血を認めた。そのため、精査を行ったところ、第8因子および von Willebrand因子の低下を認めた。その後、大量出血もなく術創は順調に治癒したため、追加治療は行わずに退院した。【結語】術後出血を契機に血液凝固異常症が判明した過去の報告では、小児で、家族歴があり、術前検査で異常値を示していた症例が多く、本症例のような経過はまれである。このことから、術後出血を来した症例は、血液凝固異常症を合併している可能性を常に考慮し、血液凝固系の精査を行う必要があると考えた。
2019/05/09 10:50〜11:50 第3会場