当科では、外耳道削除型鼓室形成術( CWD)後の再形成再発例のごとく中耳の含気能が極めて不良な症例に対して、1枚の大きな薄切軟骨を用いて鼓膜を再建している。手術の概要と術後5年目以上経過した鼓膜所見、術前の含気能評価の有用性ついて報告する。2006年から2012年に上記2施設にて再手術を行った12例14耳を対象とした。術後観察期間は平均7.2 ±1.9年[5.5〜11.8]であった。術前の含気度 Grade 1(中・下鼓室に含気あり)であった7耳では、鼓膜の陥凹や穿孔はなかった(100%)。一方、術前の含気度 grade 0(鼓室内に含気なし)であった7耳では、陥凹や穿孔が生じなかったのは4耳のみであった(57%、 P= 0.0507)。残りの1耳では鼓膜チューブが留置され、2耳では鼓膜の浅い陥凹が生じた。しかし、本手術後に再度手術が行われた症例はなかった。術前の含気度 Grade 0症例では、より慎重な鼓膜の再建が肝要であるが、本術式の長期成績は良好であると考えられる。
2019/05/09 11:40〜12:30 第2会場