第120回 日本耳鼻咽喉科学会総会・学術講演会

プログラム

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タイトル

鼓室形成術において形成鼓膜を適切な位置(深さ)に作るには、通常、鼓膜輪を指標にしている。しかし、病変が進行し鼓膜輪が消失した例に、適正な位置に軟骨で鼓膜を形成するとうまくいくことがある。症例 :14歳女性。主訴 :左難聴。病歴 :11歳の時、初めて左難聴を指摘された。左鼓膜前上部に小穿孔あり、鼓膜は全体に白色。右鼓膜は正常。聴検で右 3.3dB、左 16.7dB、 CTで鼓膜が肥厚し軟部陰影がツチ骨、キヌタ骨を巻き込んでいた。手術 :左耳後切開、鼓膜を中間層から2層に剥離した。真珠腫上皮は前上部の穿孔から鼓膜裏面を這うように発育、全周性に鼓膜輪まで入り剥離困難であった。鼓膜輪ごと真珠腫母膜を摘出した。同時にツチ骨柄、キヌタ骨も摘出した。再建は、摘出したキヌタ骨でⅢc再建した。鼓膜輪をほとんど摘出してしまったので薄切軟骨を柵状にして鼓膜輪の深さに鼓膜を形成した。その外側を筋膜で被い、残した鼓膜上皮をその外側においた。術後は比較的早く上皮化終了し乾燥した。文献などを混じえ考察する。

2019/05/09 10:50〜11:40 第2会場