第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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ネブライザー療法は内服・座薬・注射などと異なり,経気道的に呼吸器系を利用した薬剤投与法であり,気道感染症に適した治療法であるといえる.今日の耳鼻咽喉科診療においては欠かすことができない重要な局所治療法であり,多くの医療機関や診療所でも行われている.本邦では西端驥一先生が「鼻炎および副鼻腔炎の化学療法」として初めて報告され,「ペニシリン酸素霧滴陰圧療法」と命名された.副鼻腔炎に対するネブライザー療法は1958年に保険適応となり,全国的に普及した.
日本鼻科学会から「急性鼻副鼻腔炎診療ガイドライン2010年版」が作成され,そのなかでネブライザー療法は「中鼻道開大後にネブライザー薬液が副鼻腔に到達し,炎症の効果が改善される」と明記されているが,推奨グレードはC1(科学的根拠はないが,行うように勧められている)と記載され,その評価は必ずしも高くない.
我々は日本耳鼻咽喉科学会岡山県地方部会に属する医療機関を対象に鼻疾患におけるネブライザー療法の実態調査のアンケートを施行した.67%の回収率であり,ネブライザー療法施行施設は100%であった.使用機器はジェット式が73%,超音波式27%であり,ジェット式薬液内蔵タイプが最も多かった.抗菌薬の使用はセフメノキシムが77%であり,アミノグリコシド系を含む他の抗菌薬の使用が20%程度あった.デバイスとしては様々なノーズピースが使用されていることが今回の実態調査から明らかになった.
今回,日本耳鼻咽喉科感染症・エアロゾル学会から「急性鼻副鼻腔炎に対するネブライザー療法の手引き」が作成・出版された.ネブライザー療法の正しい使用法を提示し,実践的な内容として,機器の選択,管理,消毒だけでなくよくある疑問点をFrequently Asked Question(FAQ)として紹介している.
本セミナーでは手引きの内容を紹介しながら,鼻副鼻腔炎に対するネブライザー療法の現状および有効な方法について紹介する.

2016/06/24 12:40〜13:40 第1会場

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