第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

プログラム

タイトル

いまや頭頸部がんの治療は手術一辺倒でなく,化学療法,放射線療法とのコンビネーションによってより良く治すことが求められる時代となっている.治療の多様化・高度化に伴いチーム医療の重要性が認識されており,多職種にわたるチーム医療の整備を進めていくことが理想である.
一方,多くの実臨床の場面において,特に頭頸部がんに精通した腫瘍内科医が充足している訳ではなく,耳鼻咽喉科・頭頸部外科医がその役割を担っているのも現実である.また外科療法と化学療法または放射線療法を高度の次元で融合させ得るのは,外科療法に精通した耳鼻咽喉科・頭頸部外科医であることも事実であり,治療戦略の舵取りは我々に求められている役割である.
頭頸部がんにとって初の分子標的薬であるアービタックス®が適応追加承認されてから3年以上が経過した.多くの耳鼻咽喉科・頭頸部外科医も使用経験を積み,効果・副作用の両面を把握されてきたことと思う.本セミナーでは適応拡大後3年で見えてきたアービタックス®の使いどころ,また効果的な治療戦略はどのようなものであるのかにつき講演する.
局所進行頭頸部癌に対する治療では,中咽頭,喉頭,下咽頭に対する治療アプローチの違い,ガイドライン上での扱いの違いについて述べ,「質」を伴った治療を提供する方法を示唆する.また副作用マネージメントの実例も紹介しながら,特に我々,耳鼻咽喉科・頭頸部外科医に役立つ実践的な話題を盛り込み,更に来たるべき新たな時代の治療についても言及する.
再発転移頭頸部癌に対する治療においては,ガイドラインやガイダンスを実臨床にどう活用していくかを解説する.アービタックス®の登場によってこれまでに得られなかった長期の生存や,治療中の症状の改善が得られる症例が経験されるようになっている.実例を交え,アービタックス®の投与継続,ベネフィットを最大化するための効果的な休薬やレジメンの変更についても提案する.

2016/06/23 12:10〜13:10 第3会場

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