第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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耳鼻咽喉科医療は日進月歩で発展しており,生理学的検査,遺伝子検査,画像検査,診断機器,治療機器,医療材料,手術支援機器,薬剤,再生医療など,たとえば20年前には基礎研究レベルでしかなかった多くの医療技術が日常臨床に入ってきて活用されている.本シンポジウムでは,将来臨床への応用を見据えた基礎研究を含めて,最新の医療技術あるいは現在臨床試験が進行中の研究を取り上げ,基盤となる技術や学術的な面に加えて,日常臨床に用いられるために薬事承認,保険診療に至るロードマップも考えてみたい.
鹿児島大学の永野広海先生には,ホスホリルコリン経皮ワクチンについて,経皮免疫による粘膜免疫応答や細菌接着に関する基礎データーを中心に報告していただく.将来,広域スペクトラムをもつワクチンが急性中耳炎など耳鼻咽喉科疾患のみならず感染症予防の一つの選択肢となることが期待される.
九州大学の村上大輔先生には,リゾチーム・多糖体複合体を用いた好酸球性中耳炎・副鼻腔炎に対する局所治療への試みについて,その抗菌性の評価と安全性確認のためモルモットを使用した内耳毒性試験を中心に今後の臨床試験のプランも含めて報告していただく.耐性菌に対する抗菌性を有し内耳毒性がなければ局所治療薬として効果が期待できる.
京都府立医科大学の平野滋先生には,脱細胞技術を用いた喉頭切除後の再生について,ピッツバーグ大学で開発されたブタ膀胱由来脱細胞細胞外基質を用いたイヌでの実験結果を中心に紹介していただく.アメリカにおいて商品化が進んでおりその現状についても報告していただく.
福島県立医科大学の松塚崇先生には,口腔癌において潜在リンパ節転移の検出に適したセンチネルリンパ節ナビゲーション手術について,治療成績を中心にご紹介いただく.国内で乳癌,皮膚悪性黒色腫に対して2003年に先進医療に適用され,2010年に保険収載されている.口腔癌についても保険収載に向けて多施設共同ランダム化比較試験を実施中で,この進捗状況についてもご報告いただく.
信州大学の西尾信哉先生には,難聴の遺伝子診断の臨床応用について,検査法の開発と先進医療,薬事承認,保険収載までの流れを含めてご講演いただく.2008 年に先進医療「先天性難聴の遺伝子診断」として承認され,2012 年に「遺伝学的検査(先天性難聴)」として保険収載された.最新の知見にも言及していただく.

2016/06/23 14:30〜16:00 第1会場

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