第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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今回我々は,甲状腺乳頭癌diffuse sclerosing variantに対して手術治療,放射線ヨード治療後の残存転移病変に対して分子標的薬であるネクサバール®(ソラフェニブトシル,2014年承認),レンビマ®(レンバチニブ,2015年承認)を使用し良好な経過を得ている1例を経験したので経過,副作用とその管理について検討したい.
【症例】17歳,女性.約6ヵ月前から徐々に進行した頸部腫脹を主訴に近医から当科に紹介となった.甲状腺両葉に腫瘍性病変を認め,両側頸部リンパ節転移,両肺野に多数の結節性病変を認めた.嗄声は認めなかった.甲状腺全摘,両側頸部郭清術を施行し,甲状腺乳頭癌diffuse sclerosing variant(pT3N1b)の確定診断を得た.術後治療として放射線ヨード内照射を2クール行った.手術後1年のPET検査では頸部・縦隔リンパ節病変,肺転移病変の残存がみられた.同年に新規にネクサバール®が承認され,800 mg/dayで投与を開始した.CTにて転移巣の縮小傾向がみられたが手足症候群,脱毛の症状が強く,2ヵ月後に投与を断念した.術後2年のCTでは縦隔リンパ節転移の残存と肺転移の増大がみられた.同時期に承認されたレンビマ®を24 mg/dayで投与開始した.高血圧が出現したため,降圧剤内服にてコントロールしている.術後2年半のCT評価では転移巣の縮小がみられ,現在投与継続中である.
今回我々は2種類の新規承認の分子標的薬の使用経験を得た.副作用は出現頻度が高く,今回ネクサバール®使用により手足症候群や脱毛症の出現があり,継続投与が困難であった.レンビマ®はネクサバール®と比較して皮膚症状は軽度であるが,高血圧症が高頻度に出現する.降圧剤によりコントロールすることで内服継続可能であった.

2016/06/24 13:50〜14:26 P51群

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