第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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甲状腺悪性腫瘍は殆どが甲状腺に由来し,腎細胞癌の甲状腺転移の報告は稀である.今回我々は腎細胞癌手術の約20年経過後に転移性甲状腺腫瘍および内頸静脈と腕頭静脈に腫瘍塞栓を形成,手術を行った1症例を経験したので,若干の文献的考察を踏まえ報告する.
症例は72歳男性.既往歴で約20年前に腎細胞癌の手術歴あり.当科受診の約7ヵ月前に前頸部腫脹があり,他科にて甲状腺腫瘍よりFNAcを施行されたが,良悪性の診断がつかず定期経過観察されていた.当科受診約1ヵ月前に頸部腫脹の増悪と嗄声が出現,当科を紹介受診した.画像精査にて甲状腺悪性腫瘍の診断で手術待機中であったが,呼吸困難を来し緊急入院した.再度FNAcを施行し腎細胞癌の甲状腺転移と診断した.手術は腫瘍塞栓の脱落可能性を考慮し,体外循環の準備をしたうえで,呼吸器外科医により開胸,胸部外科医により腕頭動脈内の腫瘍塞栓除去を行った後に,腫瘍および喉頭摘出術を施行した.合併切除した内頸静脈内にも腫瘍塞栓を確認した.術後1ヵ月後に退院,現在術後6ヵ月経過しているが経過は良好である.

2016/06/24 13:50〜14:20 P49群

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