第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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唾液腺腫瘍一般の病理学的特徴として,他臓器に比べ組織学的に多彩であり,耳下腺癌の病理組織分類には現在まで種々のものが提唱されている.現在では2005年にIARC PressからPathology and Genetics of Head and Neck Tumoursとして発刊されたWHO分類が国際的な基準となっている.近年,染色体相互転座によって形成される融合遺伝子が相次いで見出されており,2010年に報告された乳腺相似分泌癌も腫瘍特異的な融合遺伝子を持つ腫瘍であり,WHO分類に含まれていない新しい分類である.今回我々は,乳腺相似分泌癌と診断された,耳下腺腫瘍の1例を経験したため,若干の考察を加え報告する.
【症例】36歳,男性.
【主訴】左直部腫脹.
【現病歴】X年6月ころに左耳介の後部に腫瘤があるのを自覚し,12月11日に千代田病院皮膚科を受診し,CTにて耳下腺腫瘍を疑われ,同院耳鼻咽喉科を受診した.単純CT施行され,左耳下腺浅葉に2 cm大の腫瘤を認められたが,悪性を疑う所見は認められなかった.本人の手術への希望もあり,今回当科紹介受診となった.
【経過】Y年7月28日に左耳下腺腫瘍摘出術(浅葉)を施行した.術後,顔面神経麻痺など認めず経過良好で退院となった.術後病理診断にて,乳腺相似分泌癌(mammary analogue secretory carcinoma of salivary gland compatible)の診断となった.

2016/06/24 14:38〜15:14 P48群

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