第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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耳下腺多形腺腫は耳下腺腫瘍の組織型の過半数を占める良性腫瘍である.耳下腺多形腺腫の手術において,近年耳下腺葉部分切除術が一般化されており.それ以前に行われていた核出術と比較して腫瘍再発症例は確実に減少している.しかし,顔面神経が腫瘍に接している時などでは十分に安全域をつけて切除することができなく,現在でも結果として再発症例は存在することも周知の通りである.再発例での手術は難易度が上がり,また再発を繰り返し副咽頭間隙や頭蓋内へ浸潤することもある.今回当院で経験した多形腺腫再発11例について検討を行ったので若干の文献的考察を加え報告する.
当院では1997年2月~2015年10月までに多形腺腫239例の手術を行った.そのなかで再発症例は11例であった.再発(+手術)回数が1回の症例が6例,2回以上が5例であった.当院で初回手術を行い再発した症例は2例であった.平均年齢は48.3歳で男性3例,女性8例であった.初回再発までの期間は3~27年で平均約12年であった.永久病理検査は10例が多形腺腫で残り1例が多形腺腫のなかに一部悪性転化が疑われ,粘表皮癌として加療を行った.術式は8例が浅葉切除,1例が耳下腺全摘術を行った.残りの2例は胸鎖乳突筋上に再発し単純切除を行った症例と,副咽頭間隙に再発し下顎離断の後腫瘍摘出を行った症例であった.手術合併症は再手術11例中4例に顔面神経麻痺,2例にFrey症候群をみとめた.初回手術228例の顔面神経麻痺44例,Frey症候群20例と比較すると明らかな差はなかったが合併症が起こりやすい傾向にあった.
再発時の手術は新鮮例と違って瘢痕が存在し,腫瘍が耳下腺組織および顔面神経と癒着していることが多い.そのため十分な安全域をつけた葉部分切除術や確実な顔面神経の温存は困難であり.術後合併症率の増加や複数回再発につながると考えられる.

2016/06/24 13:50〜14:38 P47群

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