第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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耳鼻咽喉科外来診療において,軟性および硬性内視鏡は必要不可欠で使用頻度も非常に高く,その機器消毒が重要であることは言うまでもない.近年の病院機能評価ver5.0から内視鏡室の感染対策が加わり,院内の内視鏡洗浄消毒器の導入も進んでいるが,各科のニーズに応じた洗浄消毒方法および機器開発が行われていないのが現状である.
耳鼻咽喉科での内視鏡洗浄において重要となるのは,消毒能力はもちろんのこと,消毒範囲,工程時間,作業騒音の3点であると考える.消毒範囲は,耳鼻咽喉科の使用状況を考えるに,診療時間中の消毒に関しては手元の操作部まででも十分ではないかと思われる.工程時間の長短は診療時間に直結する問題であり,また作業騒音は難聴者を多く扱う外来における診療の大きな妨げとなると思われる.
我々は,信州メディカル産業振興会に所属するチヨダエレクトリック(株)の協力を得て,静音型で手元の操作部まで消毒可能な耳鼻咽喉科用自動内視鏡消毒器:SED-1の開発を行い,昨年より使用開始している.前述した3点をクリアーしており,良好な使用評価を得ている.
しかし硬性内視鏡の場合は内視鏡とカメラヘッドに分かれており,後者はオートクレーブ滅菌までしか対応できない.事実上毎回の消毒は不可能であるため,アルコール系薬剤による清拭にとどまっていた.このたび当院感染症対策室の協力を得て,外来診療後のカメラヘッドに付着した細菌検査を行ったところ,驚くべき汚染状態であることが明らかとなった.その対策として,環境除菌・洗浄剤の「ルビスタ®」を清拭に用い,細菌検査では同定されないレベルまで清潔度が向上した.「ルビスタ®」は主成分のペルオキソ一硫酸水素カリウムが塩化ナトリウムを酸化することで次亜塩素酸を生成して強力な除菌作用を示し,塩素ガスがほとんど発生しないため病院などでの感染症対策に広く使われている.
これら当院での状況と対策について報告する.

2016/06/24 13:50〜14:26 P45群

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