第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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【はじめに】抗菌薬の普及や開発,画像診断や内視鏡診断の進歩は著しいが,いまだに深頸部感染症の診断治療に際しては難渋することもしばしばである.当院は軽症から重症まで様々な深頸部感染症を取り扱っており,その臨床的検討を行った.
【目的】深頸部感染症全般の臨床的特徴を明らかにすること.
【対象と方法】2006年1月から2015年11月までに当科で加療した深頸部感染症117例(男性67例,女性50例,年齢:3ヵ月から97歳,年齢中央値60歳)を対象とし,診療録をもとに後ろ向きに検討した.
【結果】呼吸困難を自覚していた症例は21例(17.9%),糖尿病合併は24例(20.5%),ガス産生12例(10.2%)であった.原因が明確なものは,扁桃・咽頭が35例,歯原性13例,喉頭蓋炎5例などであった.治療では,保存的加療のみで治癒したものが16例(13.7%),穿刺処置を行ったもの21例(17.9%),切開排膿したものが80例(68.4%)であった.気管切開施行が29例(24.8%)であった.外科的処置は初診時より24時間以内に施行されていたものが65.2%,48時間以内が78.2%を占めていた.炎症波及の範囲は,舌骨上37例(31.6%),68例(58.1%),12例(10.3%)であった.抗菌薬静脈内投与の期間(中央値)は9日,ドレーン留置期間は8日,入院期間は14日であった.生命予後は1例を除き116例(99.1%)で生存していた.気管切開施行例あるいは入院期間が25日以上の症例は37例(31.6%)であり,そうでない症例を比較して呼吸困難の自覚(35.1%),糖尿病合併(60.9%),ガス産生(21.6%),切開排膿の必要性(94.6%),炎症範囲(舌骨上2例・舌骨下24例・縦隔11例),入院期間(中央値28日)において有意差を認めた.

2016/06/24 14:26〜15:08 P44群

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