第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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神経鞘腫はschwann細胞から発生する良性腫瘍で,喉頭での発生は比較的稀である.今回われわれは,外切開による摘出術により良好な機能改善がみられた喉頭神経鞘腫の症例を経験したので報告する.
症例は63歳女性.主訴は5年来の嗄声.初診時の喉頭内視鏡で右仮声帯を中心に隆起性粘膜下病変を認めた.圧排性に声門閉鎖不全があったが声帯麻痺は認めなかった.MRIでは右仮声帯の高さに辺縁整16×23×23 mmの腫瘤性病変を認め,T1低信号,T2高信号,内部に不均一な造影効果を示した.既往として乳癌および後発骨転移の治療歴があったため,FDG-PETを施行.喉頭病変はSUVmax 3.7,その他転移性病変を疑う所見は認めなかった.以上より喉頭神経鞘腫の診断となったが,当初,呼吸苦および嚥下障害の自覚症状なく,本人に積極的な手術希望がなかったため,外来にて経過観察の方針となった.その後,腫瘤は徐々に増大し,声門狭窄が進行,初診から4年後には時折呼吸苦が出現してきたため,気管切開の適応となった.また同時期より嚥下障害も進行し,最終的に手術適応となった.術前画像における腫瘍径は28×25×37 mmで,外切開による摘出術を選択した.全麻下に甲状軟骨部分切除を行い,右側方向から喉頭内へアプローチ,腫瘍表面を一部明視下におきつつ,全摘出を行った.術後,喉頭の知覚低下を認めたが,反回神経麻痺は認めなかった.気道狭窄と嚥下障害は徐々に改善が認められ,術後1ヵ月で気管孔閉鎖,術後3ヵ月で声帯不全も改善,良好な発声が得られるようになった.最終的な病理診断は神経鞘腫であり,上喉頭神経内枝由来と考えられた.

2016/06/24 13:50〜14:26 P43群

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