第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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日常臨床では声門下狭窄により,気管切開が必要な症例が認められる.今回我々は声門下肉芽にて緊急気管切開を施行した2症例を報告する.
症例1は61歳男性.硫化水素を吸入後意識消失し,救急要請された.現地で救急医により気管内挿管を施行後,当院救急科に搬送後人工呼吸器管理となり,経過良好のため3日後に抜管,1週間後に退院となった.8週間後に呼吸困難のため当院救急を受診,同日当科紹介となり,喉頭ファイバーにて声門下肉芽を認めた.同日緊急気管切開を施行.気管孔自己管理が可能となったため退院し,肉芽については保存的に経過観察したところ,気管切開から12週間で肉芽は消失し,気管孔を閉鎖した.
症例2は71歳男性.有機リン中毒として当院に搬送され,同日呼吸困難が出現し,気管内挿管された.中毒症状から改善し,3週後抜管され,翌週で退院となった,しかし,7週後に呼吸困難が出現し,当科受診となった.喉頭ファイバーにて声門下肉芽を認め,同日入院のうえ,緊急気管切開術,喉頭微細手術を施行された.声門下肉芽消失を確認して1週後気管孔閉鎖し,翌週に退院となった.外来にて経過観察していたところ,10週後に呼吸困難を認め,ふたたび緊急気管切開,喉頭微細手術を施行した.その後,気管孔開存のまま外来にて経過観察となり,再発がないことを確認して気管孔閉鎖したが再発なく経過良好である.
劇薬(有機リン,硫化水素)を吸入後気管内挿管され,類似する病歴だが異なる治療経過となった2症例について,若干の文献的考察を踏まえて報告する.

2016/06/24 14:20〜15:08 P42群

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