第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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難治性口内炎や粘膜病変を見た場合,天疱瘡や類天疱瘡などの自己免疫性水疱症は鑑別すべき疾患に挙げられる.類天疱瘡は大きく水疱性類天疱瘡と粘膜類天疱瘡(瘢痕性類天疱瘡)の二つに分類される.粘膜類天疱瘡では粘膜病変が初発となることが多く,その後病変部位に瘢痕を残す.喉頭病変による瘢痕によって気道狭窄し,気管切開を要する症例は耳鼻咽喉科から多数報告されている.喉頭の枠組み矯正を要する場合や,気管切開後に気管孔閉鎖が困難になる症例が多い.一方,水疱性類天疱瘡では皮膚病変が主であり,喉頭・咽頭粘膜病変(特に口腔内病変)を10~30%に合併すると報告されているが,気管切開が必要になるという報告はまれである.治療への反応がよく,コントロールは容易であるが,慢性に経過することもある疾患である.治療としてはステロイド内服が主体であるが,軽症,中等症ではテトラサイクリンとニコチン酸アミドの併用内服が奏功する.難治例では,ステロイドパルス療法,各種免疫療法,ガンマグロブリン大量静注療法,血漿交換療法などを併用する.
本症例は皮膚病変から発症し,皮膚科で水疱性類天疱瘡と診断されたのち,ステロイド内服にて3ヵ月加療されていた.当初病勢は落ち着いていたが,急激な病勢悪化に喉頭粘膜病変を合併し,披裂部の浮腫または水疱によって気管切開を要した.病勢がコントロールされ,皮膚病変および喉頭病変も落ち着いた.現在は気管孔を閉鎖した症例を経験したため報告する.

2016/06/24 14:20〜15:08 P42群

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