第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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甲状腺癌のオカルト癌の報告は乳頭癌でしばしば報告があるが髄様癌のオカルト癌は非常に稀である.また,ルビエールリンパ節への転移を認める症例も稀であるが,今回我々は5 cm大のルビエールリンパ節転移を認める甲状腺髄様癌の症例を経験したので報告する.
【症例】59歳男性.主訴は3ヵ月前からの鼻閉で近医受診したところ中咽頭から上咽頭にかけた側壁の腫脹指摘されたため近医総合病院耳鼻咽喉科を紹介受診.CTにて右傍咽頭間隙の造影される5 cm大の腫瘤を指摘され,当科紹介受診となった.右上深頸領域および右気管傍領域にも同様によく造影される2 cm大の腫瘤があったため甲状腺エコーを施行したが特に病変は描出されなかった.PETでは指摘された傍咽頭間隙,上深頸領域および気管傍領域の腫瘤に集積を認めたがそれら以外に集積する部位は認めなかった.傍神経節種やその他の癌の転移を疑いFNAを施行したが悪性細胞は検出できなかったため上深頸領域の腫瘤を全麻下で摘出した.結果は髄様癌であり,術後採血したところCEA 81.1(基準値1.1~4.4),カルシトニン8870(基準値9.52以下)であった.褐色細胞腫や副甲状腺機能亢進症は認めず,孤発性オカルト甲状腺髄様癌の多発リンパ節転移の診断にて初診より3ヵ月後に甲状腺全摘術+右頸部郭清+下顎離断によるルビエールリンパ節摘出術を施行した.ルビエールリンパ節は咽頭収縮筋との癒着を認め用指的な剥離困難だったが下顎離断による視野の確保で周囲との切離が可能だった.病理結果でルビエールリンパ節転移を含む9つの転移リンパ節を認め,甲状腺本体には2 mmと微小病巣を認めた(pT1a pN1b).術後8ヵ月経過し,現在のところ再発を認めていない.

2016/06/24 13:50〜14:20 P41群

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