第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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【はじめに】甲状腺好酸性細胞型濾胞癌は濾胞癌における特殊型として位置づけられ,比較的まれな組織型である.今回われわれは甲状腺好酸性細胞型濾胞癌症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
【症例1】66歳,男性.主訴は右頸部腫脹.X年Y月に3週間前より右頸部腫脹を自覚し,当科初診となった.右前頸部に弾性軟な腫脹を認め,CT検査では甲状腺右葉に約55×45 mm大の境界明瞭で内部やや不均一な腫瘤を認めた.穿刺吸引細胞診(FNA)を施行した結果,Class3(好酸性細胞腫瘍疑い)であった.腫瘍サイズが大きいため手術適応症例であったが,経過フォローとなった.その後定期的なCT検査ではサイズ増大は認めなかった.X+2年Z月にサイズ増大と呼吸苦を主訴に受診され,CT検査にて腫瘍は約80×60 mmと増大を認めた.再度FNAを施行した所,Class3(好酸性細胞腫瘍疑い)と同様の結果であった.X+2年Z+3月に右甲状腺腫瘍切除術を施行し,病理結果は好酸性細胞型濾胞癌,切除断端陰性との結果であった.
【症例2】70歳,男性.主訴は嚥下困難感.X年Y月に嚥下困難感を主訴に当科初診となった.喉頭ファイバー検査では異常所見はなく,前頸部に腫脹を認めた.CT検査では甲状腺左葉に約48×45 mm大の境界明瞭で内部やや不均一な腫瘤を認めた.FNAを施行した結果,Class2(良性腫瘍疑い)であったが腫瘍サイズが大きいため手術加療を勧めたが希望されなかった.その後外来通院が途絶えた.X+3年Z月に呼吸苦を主訴に受診され,CT検査にて腫瘍は約70×58 mmと増大を認めた.再度FNAを施行した所,Class3(好酸性細胞腫瘍疑い)との結果であり,X+3年Z+3月に左甲状腺腫瘍切除術を施行した.病理結果は好酸性細胞型濾胞癌,切除断端陰性との結果であった.
両症例ともに術後経過は良好であり,術後7日目に当科退院となり,現在外来にて経過観察中である.

2016/06/24 13:50〜14:20 P41群

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