第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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バセドウ病の治療は,抗甲状腺薬・放射線ヨード・外科的治療があり,症例に合わせて選択される.第一選択は抗甲状腺薬であり,検査技術の進歩により手術症例は以前より減少しているが,手術治療は速やかで確実性が高く,また全摘の場合再発がないため,手術が必要な症例は少なからず存在する.
当科においてバセドウ病に対し外科的治療を行った症例について臨床的検討を行った.2010年から2015年までの6年間に当科で手術治療(甲状腺全摘術)を行ったバセドウ病22例において,手術理由,副甲状腺の術中処理,合併症,術後コントロール,再発の有無を検討した.手術理由は抗甲状腺薬の副作用や治療抵抗性により内服継続が困難となった症例が多く,過半数を占めていた.また,挙児希望やバセドウ妊娠合併,巨大甲状腺または増大傾向,腫瘍性病変合併,高度眼症により手術に至っていた.術中副甲状腺は可能な限り血行温存し,摘出された場合は筋内移植した.副甲状腺は全例で2腺以上温存された.合併症は,副甲状腺機能低下は一過性が2例(9%),カルシウム製剤またはビタミン製剤の内服継続が必要となったものは3例(14%)に認めた.反回神経麻痺は2例(9%)で認めたが,一過性であり永久的麻痺は認めなかった.また,全例で術後出血は認めなかった.甲状腺ホルモン内服にて全例良好なコントロールが得られており,再発は認めていない.
以前は多くの施設で,術後内服不要で甲状腺機能正常を目標とする亜全摘が基本術式として行われていたが,再発が多く,また残置量を少なくすると甲状腺機能低下の増加を認めることがわかった.適切な残置量の推測は困難であり,現在では再発がなく確実性の高い全摘術に術式が変化している施設が多く,当科でも全例全摘術を採用している.

2016/06/24 13:50〜14:38 P39群

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