第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

プログラム

No

タイトル

甲状腺腫瘍は前頸部腫脹,咽喉頭異常感,嗄声などを主訴とすることが多いが,他科にて精査中に偶発的に発見される症例も多い.今回我々は,2010年7月から2015年6月までの5年間に当科において手術を施行した甲状腺腫瘍76例につき検討した.
性差は男性18例,女性58例で女性に多く,男女共60歳台に多かった.組織型は良性38例,悪性38例であった.良性は濾胞腺腫36例,腺腫様甲状腺腫1例,好酸性腺腫1例,悪性は乳頭癌37例,濾胞癌1例であった.主訴は頸部腫脹が最も多かった.穿刺吸引細胞診(FNAC)による病理組織診断の正診率は全体で93.4%であり,病理組織別にみると濾胞腺腫97.2%,腺腫様甲状腺腫100%,好酸性腺腫100%,悪性は乳頭癌89.2%,濾胞癌100%であった.手術は,良性では葉切除を,悪性では総合的判断により全摘・亜全摘・葉切除を施行した.悪性腫瘍が疑われる例には全例,気管傍リンパ節郭清,気管前リンパ節郭清を行った.術後合併症としては反回神経麻痺を5例みとめ,そのうち完全麻痺2例,不全麻痺3例生じており,いずれも手術侵襲による影響であった.現在までに,再発・転移・死亡症例はみとめていない.

2016/06/24 13:50〜14:38 P39群

操作