第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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【症例】患者は69歳女性,1ヵ月前からの嗄声を主訴に近医を受診したところ,右声帯麻痺を指摘され当科に紹介された.2ヵ月前のCTには認めなかった,7 mmの右浅頸部リンパ節と,15 mmの右下内深頸リンパ節,および甲状腺病変を認めた.複数回の細胞診では結果が出ず,浅頸リンパ節の生検により,類上皮血管内皮腫であることが判明した.甲状腺右葉切除と右頸部リンパ節郭清を施行したところ,術中所見では迷走神経と一体化した赤黒い腫瘍を認め,右声帯麻痺の原因となっていたと考えられた.病理検査では迷走神経と一体化していた腫瘍に,生検で摘出した腫瘤と同様の類上皮血管内皮腫細胞を認めた.
【考察】類上皮血管内皮腫は血管腫と血管肉腫の中間の低悪性度腫瘍で,肝臓・骨・肺に好発する.頭頸部での報告は稀で,本邦では甲状腺原発のものの報告が1例あるのみである.他臓器の場合には,切除可能であれば切除が第一選択となるため,本症例でも外科的切除を行った.また,本症例はワーファリンの離脱に伴って,生検および根治術の周術期に計4週間のヘパリン化処置を行った.経過中,下内深頸病変は著明な縮小傾向を示した.類上皮血管内皮腫は血管に由来する腫瘍であることから,ヘパリンが腫瘍縮小に何らかの影響を与えた可能性について考察する.

2016/06/24 13:50〜14:38 P39群

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