第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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難治性口腔咽喉頭病変の原因は多岐にわたる.局所的原因としては齲歯や義歯などの慢性刺激,細菌・真菌・ウイルスなどの感染,乳頭腫・癌など腫瘍性病変によるものなどが考えられる.全身的原因としては,ベーチェット病やSLEなどの膠原病,白血病や悪性貧血などの全身疾患によるものなどが考えられる.難治性口内炎の原因の一つに天疱瘡があるが,今回我々は口腔咽喉頭病変を主訴に当科を受診し,天疱瘡の診断に至った2例を経験したので報告する.
症例1は78歳男性.誤嚥,摂食不良を主訴に当科受診.喉頭蓋と軟口蓋に白色病変を認め,生検するも悪性所見なし.定期通院をしていたが自己中断となっていた.2年後に同症状で再受診.喉頭蓋・軟口蓋の白色病変に著変なく再度生検を施行し,類天疱瘡の可能性を指摘された.血液検査で抗BP180抗体が上昇.再度生検術を施行し,蛍光抗体法で類天疱瘡の診断となった.皮膚科医によるステロイド治療を開始し症状改善傾向である.
症例2は43歳女性.半年前からの繰り返す口腔内出血を主訴に当科受診.受診時,咽喉頭・口腔内に出血性病変は明らかでなかったが,食後に粘膜下出血を来すという病歴より天疱瘡が鑑別に挙がった.右中咽頭の軽度発赤した病変より生検施行し,尋常性天疱瘡の疑い.血液検査でも抗デスモグレイン3抗体の上昇を認め尋常性天疱瘡の診断となった.皮膚科紹介とし,経過観察中である.
天疱瘡は皮膚科領域の疾患ではあるが,初発症状が口腔咽喉頭病変であることが多く,必ずしも皮膚病変を伴うわけではないことから,耳鼻咽喉科医が果たす役割が多い.鑑別診断の一つに加えることで早期診断の一助になると考える.

2016/06/24 13:50〜14:44 P37群

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