第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

プログラム

No

タイトル

【はじめに】一般的に掌蹠膿疱症は,扁桃病巣皮膚疾患としてわれわれ耳鼻咽喉科医のなかでも広く認識されているが,他に尋常性乾癬や滴状乾癬,アナフィラクトイド紫斑病なども,扁桃との関連が報告されている.今回,当科で行っている扁桃マッサージ法(以下,扁マ)による扁桃誘発試験の現状や,掌蹠膿疱症と乾癬を中心に口蓋扁桃摘出術(以下,扁摘)の有効性などを検討した.
【対象】2008年1月~2014年12月の7年間に,扁桃病巣感染の疑いで当院皮膚科より紹介され,扁桃誘発試験を行った67例(男性23例,女性44例,平均年齢40.1歳)について検討した.皮膚疾患の内訳は,掌蹠膿疱症26例,尋常性乾癬22例,滴状乾癬16例,アナフィラクトイド紫斑病2例,光線過敏症1例であった.
【方法】扁マは白血球数,赤沈,体温,皮膚症状の変化を判定し,1項目以上の反応を認めた場合に扁マ陽性とした.また検査結果や疾患の改善状況等は,診療録および質問紙をもとに調査,検討を行った.
【結果】(1)扁マの陽性項目:皮膚病変と白血球の変化が大多数であった.(2)疾患別の扁マ陽性率:掌蹠膿疱症57.7%,尋常性乾癬45.5%,滴状乾癬50.0%.(3)扁マ陽性例の扁摘施行率:掌蹠膿疱症66.7%,尋常性乾癬40%,滴状乾癬12.5%.(4)掌蹠膿疱症における扁摘後の症状改善率:皮膚症状80%,関節症状62.5%.(5)乾癬における扁摘後の皮膚症状改善率:尋常性乾癬60%,滴状乾癬100%.
【考察】今回,扁桃病巣感染が疑われる掌蹠膿疱症,尋常性乾癬,滴状乾癬ともに約半数が扁マ陽性で,その陽性適中率も高い結果であり,扁マの有用性を再確認できた.また掌蹠膿疱症だけでなく,尋常性乾癬や滴状乾癬においても,扁摘により60%以上の症例で皮膚症状の改善が得られた.今後扁マ陽性の場合には,より積極的に扁摘を考慮していくべきと考えられた.

2016/06/24 13:50〜14:44 P37群

操作