第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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IgA腎症は代表的な扁桃病巣感染症の一つと考えられており,約4割が末期腎不全に移行する予後不良な疾患である.1980年代よりIgA腎症に対する治療法の一つに両側口蓋扁桃摘出術(以下,扁摘)が挙げられる.成人におけるIgA腎症に対して扁摘もしくは扁摘後ステロイドパルスによって尿所見の改善を認めたという報告が数多くされている.また,小児においてもカクテル療法もしくはステロイドパルス施行後に扁摘を施行し,尿所見の改善を認めたという報告もされるようになってきた.そこでわれわれは,小児と成人で分けて追跡可能な症例に対して扁摘の有効性を検討したので報告する.
2009年から2015年までの6年間で疾患に関わらず当科にて行った扁摘は229例である.そのうちIgA腎症に対して扁摘を行った46例の中で追跡可能な症例33例を対象とした.成人10例(扁摘時の平均年齢28.5歳,男性4例,女性6例),小児23例(扁摘時の平均年齢12.0歳,男児10例,女児13例)である.有効性を検討するための検討項目としては,1)初診時の蛋白尿,血尿の程度,血清IgA,2)組織学的な腎予後,3)腎生検を施行され,IgA腎症と診断がついてから扁摘に至るまでの期間,4)腎生検され,IgA腎症と診断されてから扁摘を施行するまでに行われた治療,5)扁摘後に行われた治療,6)扁桃肥大の程度,7)現在の蛋白尿,血尿所見,血清IgAの7項目である.これらについて後ろ向きに検討したので,文献的考察を含めて報告する.

2016/06/24 13:50〜14:44 P37群

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