第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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背景:局所進行頭頸部癌頸動脈浸潤例では,その損傷により致命的となるケースが少なくない.今回我々は二度の総頸動脈損傷を生じた喉頭癌局所再発例にカバードステント留置術を施行し救命を得た症例を経験したので報告する.
症例:68歳男性.喉頭癌(T4aN1M0)に対してX-7年他院にて喉頭全摘,術後照射を施行された.X年局所再発を認め,総頸動脈浸潤あり手術不適応にてX年12月24日追加照射目的に当院紹介となった.セツキシマブ併用放射線治療を56 Gy施行しadjuvantとしてセツキシマブ+PF療法を2コース施行しPRとなり,以降外来でセツキシマブ維持療法を施行した.X+2年4月14日右頸部瘻孔による総頸動脈露出があり,同日緊急で大胸筋皮弁による被覆を行った.しかし術翌日総頸動脈損傷による多量出血があり,圧迫止血を得られたため脳外科Drにて血管撮影を施行,マタステスト陽性の判断でカバードステント留置を施行し救命を得た.その後経過に問題なく退院し,外来通院となった.しかし,X+2年11月30日吐血し,当院救急搬送となった.再度血管撮影を施行しカバードステント部位に瘻孔を認めたため,再度カバードステントを留置し救命を得た.術後脳梗塞症状は認めず強い希望で早期退院となり外来通院となった.
考察:近年大血管破裂にカバードステントを使用した報告が散見される.本症例では初回留置したカバードステントに瘻孔を認め,再留置を行ったが2度施行し救命を得られた報告は少数であった.
まとめ:頸動脈損傷で外科的な止血が困難な例にカバードステント留置術は有効である可能性が示唆された.

2016/06/24 14:26〜14:56 P36群

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