第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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頸部郭清術施行時に胸管やリンパ管損傷を起こし乳糜漏を合併することがあるが,乳糜胸を合併したという報告は少ない.今回われわれは,甲状舌管原発のPapillary carcinomaに対して甲状腺全摘と左頸部郭清術を施行後に乳糜漏を合併し,乳糜胸にまで至った症例を経験したので報告する.
症例は65歳の女性で,前頸部腫瘤を主訴に当科を受診した.甲状舌管もしくは甲状腺原発のPapillary carcinomaと診断し甲状腺全摘と左頸部郭清術を施行した.術後第4病日に左頸部に乳糜漏を合併したため保存的治療を開始したが,第6病日に頸部から乳糜の漏出が増加した.その際に右胸腔に大量の貯留液を認めたため胸腔ドレナージを施行し乳糜胸と診断した.頸部の乳糜漏に対する処置により乳糜胸も改善した.
本症例は左頸部で生じた乳糜漏から右乳糜胸へ至ったと考えられた.その経緯について若干の文献的考察を加えて報告する.

2016/06/24 14:26〜14:56 P36群

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