第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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本邦の頭頸部癌治療において化学療法併用放射線治療は広く施行されており,その中でもシスプラチンやセツキシマブは使用頻度の高い抗がん剤である.当科では,頭頸部癌の化学療法併用放射線治療中に,抗がん剤使用との因果関係を否定しえない下部消化管穿孔例を経験した.下咽頭癌に対しシスプラチン使用中の結腸穿孔・小腸穿孔症例,および中咽頭癌に対しセツキシマブ使用中の結腸穿孔症例である.下部消化管穿孔は発症後比較的早期から細菌性腹膜炎を呈し,敗血症,ショックとなり臓器障害を引き起こすため,早期診断・迅速な対応・基本的には開腹手術が必要となる.全身状態悪化に対する術後の集中治療も重要であり,予後不良の症例も多い.これまでに頭頸部癌化学療法中の下部消化管穿孔合併症例の報告は少ない.稀な合併症ではあるが,発症すると重篤になるため,起こり得る合併症として十分に注意し,速やかに対処する必要があると考えられた.

2016/06/24 13:50〜14:26 P35群

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