第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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心原性脳血管障害などの血栓塞栓症を予防する目的でワルファリン療法が盛んに行われているが,その有害事象として出血性合併症があり,頭頸部領域では咽頭粘膜下血腫を来し上気道閉塞を生じた症例が報告されている.また他薬剤との相互作用によりワルファリン作用が増強することが知られている.今回われわれはワルファリン作用増強による下咽頭血腫の1例を経験したので報告する.
症例は59歳女性.X-5年に左乳癌に対し当院外科で手術施行した.術後1年半後のCTで肺塞栓症と左腋窩リンパ節転移を認め,他院にてIVCフィルター留置し,ワルファリン内服開始した.その後腋窩リンパ節郭清術施行し,アジュバントとしてGEM+PTXおよびRT開始した.X-2年のCTで肺転移を認め,wPTX+AVA開始した.X年3月,蛋白尿3+,下腿浮腫悪化にてTS-1 120 mg/day(4投2休)開始した.5月12日よりTS-1は休薬期間となっていた.5月18日より咽頭痛が出現し,5月21日微熱,経口摂取困難となり近医耳鼻咽喉科を受診した.喉頭ファイバーで右側披裂粘膜下血腫および喉頭腫脹を認め,同日当科紹介となった.当科初診時,ワルファリン3.5 mg/day内服しており,PT-INR 9.04と延長を認めた.気道管理および投薬調整が必要と判断し,同日緊急入院となった.循環器内科にコンサルトしK2N 10 mg/dayを2日間,ベタメタゾン4 mg/dayを4日間,CTRX 2 g/dayを7日間投薬した.以後,咽喉頭粘膜腫脹,粘膜下血腫は改善を認め,PT-INR 1.5~2.0と至適範囲で経過し5月27日よりワルファリン3.5 mg/day内服再開した.全身状態良好にて5月28日退院した.

2016/06/24 13:50〜14:26 P35群

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