第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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【はじめに】石灰沈着頸長筋炎は,急性発症の激しい頸部痛で発症し,頸部可動制限や咽頭痛も伴い,しばしば咽後膿瘍や頸椎化膿性脊椎炎等との鑑別を要する疾患である.最近我々は,当初に咽後膿瘍を疑われたが画像診断で石灰沈着頸長筋炎を診断した2例を経験した.
【症例】症例1:46歳女性.X年8月1日咽頭痛,後頸部痛出現,8月3日近医整形外科受診.X-P,MRIにて咽後膿瘍を疑い同日当院紹介.咽頭後壁に発赤を認めたが,肉眼的所見とわりに疼痛が目立ち,頸部CTにて石灰沈着頸長筋炎に特徴的な石灰化を認めた.NSAIDs内服による経過観察で受診後9日目に症状軽快した.
症例2:50歳男性.X年9月7日朝から後頸部に違和感出現,9月8日未明,著しい後頸部痛の悪化にて近医脳神経外科に救急搬送.髄膜炎否定ののち同院整形外科,耳鼻咽喉科で精査の結果,MRI所見より咽後膿瘍を疑うものの原因を特定できず当院紹介.前医と当院CTの結果,頸椎前方に石灰沈着頸長筋炎に特徴的な所見を認めた.頸部痛,頸部可動制限を伴い自覚症状も強いため入院経過観察とし,入院6日目に症状軽快し退院した.
【考察】石灰沈着頸長筋炎は無治療でも自然に治癒する経過良好な炎症性疾患であるが,発症様式が咽後膿瘍や頸椎化膿性脊椎炎等と類似するため,早期に鑑別することが重要である.

2016/06/24 14:14〜14:38 P34群

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