第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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【はじめに】気管切開は上気道狭窄に対する気道確保,肺炎や長期挿管症例に対する呼吸管理目的に行われる.原疾患の改善とともに気管切開が不要となる症例では,呼吸や嚥下の状態をみながら気管切開孔を閉鎖していくのが望ましい.そこで今回,気管切開の原因疾患,嚥下機能障害の重症度と気切孔閉鎖の可否について検討を行った.
【方法】2011年9月から2015年9月までに当院で気管切開後に兵頭スコアを用いて嚥下機能評価を行った15例について気切孔閉鎖の可否,年齢,気管切開の原因,兵頭スコアについて検討した.
【結果】気切孔閉鎖可能となったのは7例であった.その平均年齢は70歳,気管切開の原因は上気道狭窄が4例,呼吸管理目的が3例であった.兵頭スコアは4点以下が4例,5~8点が3例,9点以上の症例はなかった.気切孔閉鎖不可であったのは8例であった.その平均年齢は73歳,気管切開の原因は上気道狭窄が1例,呼吸管理目的が7例であった.兵頭スコアは4点以下が2例,5~8点が2例,9点以上が4例であった.兵頭スコアが4点以下であるのに気切孔閉鎖不可であった2例は,1例が脳出血後の意識レベル低下,1例は嚥下や呼吸の状態としては閉鎖可能であったが高齢のため主治医判断で閉鎖しなかった症例であった.
【結論】気切孔閉鎖には呼吸状態が良好であることが第一であり,閉鎖できなかった症例では気管切開の原因が呼吸管理目的の症例が多かった.また,呼吸管理目的の気管切開症例のうちでは兵頭スコアが高いほど気切孔閉鎖は難しかった.

2016/06/24 14:14〜14:50 P32群

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