第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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2011年3月の震災以来,福島県および福島県立医科大学では原子力発電所事故を踏まえた県民健康管理調査のひとつとして「甲状腺超音波検査」を開始している.下咽頭梨状窩瘻は第4鰓弓に由来する副甲状腺の発生過程での遺残により生じる先天奇形で,化膿性急性甲状腺炎の感染経路として発見される場合が多い.無症状で経過し健診の上部消化管X線検査にて指摘される例もあるが,今回我々はこの甲状腺超音波検査にて発見された下咽頭梨状窩瘻の2例を経験した.
【症例1】14歳女児.特記すべき既往歴なし.13歳時冬に甲状腺超音波検査を受け甲状腺囊胞を指摘された.10ヵ月後に前頸部腫脹,嚥下時違和感出現し近医耳鼻咽喉科より当院紹介,甲状腺右葉に40 mmの硬く可動性不良な腫隆認めた.化膿性甲状腺炎の診断にて切開排膿施行された.嚥下造影検査にて右梨状窩瘻を認め,佐藤式直達鏡を併用し頸部外切開にて右梨状窩瘻摘出術を施行,術後経過良好にて退院した.
【症例2】15歳女児.3歳時に右人工内耳埋込術を受け,13歳より注意欠陥多動性障害にて投薬管理中.5歳時,14歳時に急性甲状腺炎の診断で投薬受け,その後も左頸部の疼痛を反復していた.甲状腺超音波検査で甲状腺左上に異常陰影認め要2次検査の判定となり,2次の超音波検査にて瘻管を確認され当科紹介となった.嚥下造影検査にて左梨状窩瘻を認め,佐藤式直達鏡を併用し頸部外切開にて左梨状窩瘻摘出術を施行,術後経過良好にて退院した.

2016/06/24 13:50〜14:14 P31群

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