第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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下咽頭梨状陥凹瘻は,梨状陥凹に開口部を有する先天性瘻孔であり,第4咽頭囊が形成した上皮小体が甲状腺に移動する際の通路が残存したものであるとされている.頸部反復性感染の原因となる比較的まれな疾患で,発生学上左側に多く発生するとされている.多くは頸部膿瘍や化膿性甲状腺炎の反復で見つかると言われている.今回我々は,繰り返す右側の頸部膿瘍から梨状陥凹瘻を疑うも嚥下造影検査では瘻孔を同定できず,顕微鏡下喉頭手術により右梨状陥凹瘻を確認し診断に至った症例を経験したので報告する.
症例は28歳女性で,右頸部腫脹・発熱を主訴に当科を受診し右頸部膿瘍の診断にて全身麻酔下に頸部膿瘍切開排膿術を施行した.その後4年間に同様の膿瘍を計4回繰り返し,梨状陥凹瘻を疑い嚥下造影検査施行するも瘻孔は同定できず,その他喉頭ファイバー所見やCT・MRI等でも同様であった.今回根治的治療目的に入院,まず顕微鏡下喉頭手術にて右瘻孔を確認しえたため右梨状窩瘻と診断し,瘻管内にピオクタニン染色したスポンゼルを留置後,頸部操作に移り右頸部外切開で瘻管切除・瘻孔閉鎖施行とした.術後反回神経麻痺等の合併症を認めず,嚥下造影検査で瘻孔がないことを確認し,食事開始後も問題なく退院となった.退院後も定期的に外来フォローとしているが,膿瘍の再発はない.若干の文献的考察を加え報告する.

2016/06/24 13:50〜14:14 P31群

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