第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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[はじめに]魚骨咽頭異物の患者の多くは魚骨刺入時の疼痛や不快感により,翌日までに医療機関を受診する.また魚骨異物は視診や喉頭内視鏡で確認でき,外来で除去可能であることも多い.しかし長期に医療機関を受診しなかった場合や,外来で刺入部位の確認が困難な場合,重篤な合併症を来すこともある.今回我々は,魚骨異物により急性喉頭蓋炎を呈した2症例を経験したので報告する.
[症例1]81歳男性.ブリを食べた4日後から喉頭違和感と嗄声が出現したため近医を受診し,急性喉頭浮腫の診断にて当科に紹介された.喉頭内視鏡検査では喉頭蓋の浮腫を認めたが,魚骨異物は認められなかった.単純CTおよび三次元CTにて魚骨の正確な部位が同定され,同日局所麻酔下での緊急気管切開後,全身麻酔下直達鏡下異物除去術を施行した.
[症例2]54歳女性.アンコウ鍋を食べた後から咽頭痛を自覚し3日間経過観察していたが改善しないため当科受診.初診時喉頭内視鏡検査で喉頭蓋右側舌根面の浮腫と舌根右側粘膜の白苔が認められたが魚骨は確認できなかった.しかし単純CTで魚骨を同定,再度鉗子付電子内視鏡にて観察したところ喉頭蓋谷に両端が粘膜内に刺入した魚骨の一部を確認し内視鏡下に摘出した.
[考察]高齢者では,喉頭知覚低下が原因で魚骨刺入による疼痛などの症状が乏しく,受診が遅れ重篤な合併症を来すことがある.高齢者の急性喉頭蓋炎症例では,摂食歴聴取は重要である.魚骨異物の検出率は,単純Xp検査より単純CT検査の方が有意に高く,提示した2症例においても,魚骨の同定に単純CT検査が有用であった.またCTを3次元構築することは,魚骨の刺入部位をより明確にしうる.1例目は直達鏡下にて,2例目では鉗子付電子内視鏡にて摘出した.

2016/06/24 13:50〜14:20 P29群

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