第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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咽頭異物は小児・成人にかかわらず日常診療で頻繁に遭遇する疾患であるが,魚骨が圧倒的に多く,その他の嚥下運動にて咽頭を通過しないような形態や大きさの異物であれば,視診や画像検査で診断が可能であることがほとんどである.今回我々は異物による咽頭損傷が疑われたものの診断に難渋した小児の症例を経験したため報告する.
症例は2歳女児で2014年5月に異物誤飲を疑うエピソードがあり,他院2ヵ所の小児科,耳鼻咽喉科で診療を受けた.咽頭後壁に広範な白苔付着があり,咽頭痛,食欲不振などを伴ったため複数の抗生剤投与等の治療を受けたが改善がなく原因も不明であるため,約2ヵ月後に当科紹介となった.当科受診時咽頭の所見は上記と同様で,軟性鏡による観察や単純CTでも咽喉頭に明らかな異物の遺残は指摘できず,患児の周辺に異物を直接確認した者もいないため咽頭粘膜の傷害機転を推測することも困難であった.化学熱傷等を疑い,全身状態は良好で経口摂取もできていたため保存的に経過観察としたが,約1ヵ月経過しても咽頭後壁粘膜の白苔は全く変化を認めなかった.異物遺残など咽頭に異常をきたす何らかの原因が持続している可能性が強く疑われたが,患児の協力が得づらく口からの触診,器具を用いての処置等は全く不可能であったため,全身麻酔下に咽喉頭の状況を確認することとした.麻酔導入時の経口挿管は特に問題なく行われた.直達喉頭鏡を挿入しながら咽頭を確認すると,中~下咽頭後壁に密着した無色透明,3 cm四方のやや硬質な樹脂製フィルムを異物として認めたためこれを摘出した.フィルムの角が接触する部分には肉芽が形成されていたが,下咽頭には著明な炎症や狭窄・穿孔は認めなかった.これまで診察で咽頭後壁の白苔として見えてい

2016/06/24 13:50〜14:20 P29群

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