第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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全身麻酔下に喉頭直達鏡で摘出術が必要となった小児下咽頭異物症例について文献的考察をふまえ報告する.
症例は1歳6ヵ月男児.母の手作り弁当の一口大のハンバーグを食べた直後より苦悶様表情と啼泣あり救急要請となった.問診では咽頭の違和感や呼吸苦の訴えはなく,聴診でも気道狭窄音を認めなかったが,同乗した母からの問診によりハンバーグに刺したピックの誤飲異物が疑われ小児科より当科コンサルトとなった.呼吸状態および全身状態も安定していたため気道痙攣に注意し喉頭ファイバーを慎重に施行した.下咽頭に白色の突起物を認め,呼吸時に先端が見え隠れする状態であった.異物の形状から児の体動もあり摘出時に気管側への落下や周囲組織の損傷が懸念されたため,外来での軟性鏡を用いた摘出は困難と判断し全身麻酔下で緊急手術の方針とした.吸入麻酔および静脈麻酔にて導入を行い異物に注意し挿管を行った.全身麻酔下に喉頭鏡(永島社製,喉頭鏡,斎藤氏 小)を用いて摘出術を行った.門歯列から約10 cmの下咽頭に白色の突起物を認め,周囲粘膜の損傷に注意し鉗子を用いて摘出を行った.摘出した異物はプラスチック製のピック(縦30×横22.5×幅5 mm)で問診時に確認したものと同様の物であった.摘出物の損傷は認めなかった.術後当日に被裂部粘膜に軽度浮腫を認めたため術後気道浮腫予防目的でステロイド点滴と吸入を行った.その後浮腫は改善を認め,その他大きな合併症なく経過し術後3日目に退院となった.術後の当科外来も問題なく経過したため終診となった.
従来の小児咽頭異物では魚骨が多かったが,時代とともに玩具などの誤飲で摘出が必要になった症例が増加してきている.今回異物となった弁当用ピックは,装飾を施した弁当(キャラクター弁当)に頻繁に用いられている.今後同様の症例が増加する可能性もあり,注意を促す必要がある.

2016/06/24 13:50〜14:20 P29群

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