第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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【背景】上咽頭癌は「上咽頭の症状」よりも「離れた臓器の症状」として現れることが大半であり,時に診断の遅れにつながる.
【目的】上咽頭癌の診断に至る経緯を評価し,診断が遅れる因子について検討する.
【対象と方法】2004年~2012年に当科を受診した未治療上咽頭癌44例の症状と診断に至るまでの期間を後ろ向きに検討した.
【結果】初診時の症状(顕著なもの1つ)として最も多いものは頸部リンパ節腫脹(20例)であり,耳症状(12例),鼻症状(5例),頭痛(3例)と続いた.診断までに1ヵ月以上を要したものは44例中18例であり,平均4.0ヵ月であった.内訳は,頸部リンパ節腫脹4例(平均4.0ヵ月),耳症状9例(平均5.0ヵ月),鼻症状3例(平均3.0ヵ月),頭痛2例(平均2.0ヵ月)であった.耳症状の9例,鼻症状の3例はいずれも耳鼻咽喉科を初診していた一方,頭痛の2例および頸部リンパ節腫脹の4例中3例は耳鼻咽喉科以外を初診していた.
【結論】上咽頭癌では,耳症状・鼻症状は耳鼻咽喉科を初診していても診断が遅れることが少なくなく,我々耳鼻咽喉科医も認識を改める必要がある.また,頭痛や頸部リンパ節腫脹は耳鼻咽喉科以外を初診することが多く,他科医師への啓蒙も必要と思われた.さらに最近3年間の症例を追加し発表する.

2016/06/24 13:50〜14:26 P27群

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