第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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【はじめに】咬筋内血管腫が稀な疾患ではあるものの,その報告が少なくない一方で,同様の臨床病態であるintravascular papillary endothelial hyperplasiaの咬筋内発生は渉猟し得る範囲での報告がみられない.
【症例】26歳女性.右頬部に圧痛のある硬結を触知したため,当院形成外科から紹介された.エコーで13 mmの低エコー結節を認め,穿刺吸引細胞診では血清を背景とした好中球・リンパ球・組織球を認めるものの,それぞれの細胞異型は認めなかった.MRIでは腫瘤は右咬筋内に存在することから,咬筋内血管腫の術前診断の下,耳下腺手術に準じた耳介周囲のS字状切開によるアプローチで摘出を行った.
【手術所見】耳下腺浅葉被膜に沿って前方を剥離して咬筋を露出した.硬結を触知する部位の筋繊維を分離し,赤色で被膜を有する10 mm径の腫瘤を摘出した.腫瘤に流入する特異的な血管は見られなかったが一部で筋に癒着を認めた.
【病理組織診断】筋内に大型血管腔様組織を認め,その中に小血管増生を,一部に乳頭状構造を認めることからintravascular papillary endothelial hyperplasiaと診断された.
【考察】本疾患は皮膚科や形成外科からの報告がほとんどであり,その病態も組織学的に血管肉腫との鑑別が求められるとされているが,明確な報告は渉猟し得なかった.

2016/06/23 18:06〜18:42 P26群

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