第78回 耳鼻咽頭科臨床学会 総会・学術講演会

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咽頭血管腫は咽喉頭異常感や喀血の原因となる良性の静脈奇形である.今回,我々は持続する喀血により貧血の急激な進行をきたした咽頭血管腫の1例を経験したので報告する.
症例は77歳男性である.X年10月より5分ほど持続する喀血を認めるようになり改善しないため当院内科を受診した.上部消化管内視鏡検査,造影CT検査を行うが異常所見を認めないため経過観察となっていた.しかしその後も喀血が続くため当科紹介となり,喉頭ファイバー検査で,喉頭蓋舌根面に径1 cmほどの血管腫を認めた.喀血の原因と考えられ同日に当科入院となったが,入院後も20分ほどの喀血を認めた.血清ヘモグロビン値が11.4 g/dlから8.9 g/dlと貧血の急激な進行をきたしたため,輸血を施行し第2病日に全身麻酔下の咽頭血管腫切除術を施行した.手術は直達喉頭鏡下に軟性ファイバーで観察しながら施行した.血管腫はわずかな刺激で容易に出血を認めた.有茎性の腫瘤であり,CO2レーザーで茎部を焼灼切除した.切除断端面はCO2レーザーで焼灼止血し手術終了とした.病理組織検査では海綿状血管腫と診断された.術後から現在にいたるまで喀血は認めていない.
咽頭血管腫は咽喉頭異常感や喀血の原因となり得るが,今回のように大量の喀血となることは稀である.上部消化管内視鏡検査では観察しづらい部位であり,同検査で原因がわからない喀血,血痰の精査として,喉頭ファイバー検査は必須だと考えられる.

2016/06/23 17:30〜18:06 P25群

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